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奥薗寿子のほのぼのほどほど「家庭料理の底力」 (集英社be文庫) 奥薗 寿子 (著) を読んだ。
読み物の部分が半分とレシピが半分だから、読み終えたというのはおかしいかもしれないが。
この本は、料理の本でもあり、私にとっては育児の参考にもなりそうだし、人生勉強の材料にもなりそうだ。

奥薗氏の生い立ちや子育ての葛藤が書かれており、この人の原点や考え方の背景が見える気がする。
奥薗氏の祖母の手からは、日常の何の変哲もない素材が魔法のようにさまざまな料理に姿を変える。これが奥薗料理の出発点。
科学的な根拠のない手間は省略するというズボラ派の真骨頂は、何事も科学的に教えてくれたこの人のお父さんに由来する。子育てをしながらの料理をしなければならない世の母親たちに圧倒的な支持を受けているのも、これあってこそ。
大学の頃に授業をさぼってまで通った料理教室では、そこに生徒として来ていた現役お母さんたちから、同じ素材や残り物の別料理への応用方法をたくさん学んだとか。
これが手を抜きつつも、土台となる味の共通項(基礎)から、さまざまな料理への変形(応用)へと発展していくバラエティの広さにつながっている。

個性が求められる昨今、人と違うことを言ったりやったりすれば、一時的に注目を集めることはできるが、それが長続きするか否かは、その人の土台の確かさと応用力にかかっている、なんてことをこの本を読みながら考えました。

テレビに映る奥薗氏は、いつも笑顔ではつらつとしていて、別世界の人種のように感じていましたが、この本には、子育ての悩みなど、生身の人間の本音も書かれていて、身近に感じられました。

息子さんが中学生になった頃の反抗期の話は、別の意味で興味深い。
自分の料理を食べなくなった息子に対応する手段として、家に来る息子の友人たちに料理を食べさせることで、彼らからの信頼を勝ち取ってから、息子を懐柔するとは!
やっぱり、この人、ただものではない!!

この人にとっては、料理と人生は切っても切り離せないものなんでしょうね。
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