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私はクロンマーのクラリネット協奏曲が好きだ。
聴きやすいし、結構、良い曲だと思うのだが、世間(特にクラリネット吹きの間)では評価が高くない。明るさと明快さが、ちょっと間違えると安っぽく聞こえてしまう危険があるのかもしれない。技術的難易度の点では、モーツァルトと同等程度であり、華やかさはあるが、ウェーバーほど派手ではない。変ホ長調なので、Bb管で無理せずに美しい響きが得やすい、などなど、好ましいポイントが多いのに。
録音の数はそれなりにあるのだが、演奏会に取り上げられるのをあまり聴いたことがない。
録音も、カップリング相手をどう選ぶかで微妙な立場にあるようだ。よくカップリングされるのは、モーツァルトのクラリネット協奏曲か、クロンマーの2曲ある2本のクラリネットのための協奏曲の1つだ。クロンマーの作品だけで揃えるのは、アルバムとしての統一感は完璧だが、もう1人クラリネット独奏者を確保しなければならないことと、知名度の視点から売れるのか心配なのか、数は少ない(ブイケンス親子のCDか、NaxosのCDしか見たことがない)。一方、モーツァルトのクラリネット協奏曲とカップリングするのは、売れ行きはある程度期待できるし、両作曲家の同時代性(モーツァルトは1756年生まれ、クロンマーは1759年生まれ)から、悪くないのだが、最晩年の充実しきったモーツァルトと並べられると見劣りしてしまうのだ。
もっとも、モーツァルトのクラリネット協奏曲にもカップリング相手の選択の問題はあるのだが、それは後日。
もっと、多くの人に聞いてもらいたいし、もっと演奏されてしかるべき曲だと思う。
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